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腸内フローラに関する論文情報

■ 腸内フローラについてヒトと動物に関する論文情報を紹介します。​各内容の著作権は掲載元の著作権者にあります。

Fecal microbiota transplantation in the treatment of irritable bowel syndrome: a single-center prospective study in Japan
名古屋大学(2022.07.14)
下痢症状の難治性消化器疾患に対する治療法として注目されている腸内フローラ移植を、ヒトの難治性IBS(過敏性腸症候群)に対して行い、12週間後に術前後を比較したところ、IBSの症状の重症度にかなり改善が見られたそうです。

Gut microbiota restoration through fecal microbiota transplantation: a new atopic dermatitis therapy
Experimental&Molecular Medicine(2021.05.20)
韓国中央大学からアトピー性皮膚炎に対する腸内フローラ移植治療(FMT)について発表された論文です。腸内フローラ移植は主にCDIやIBDの下痢症に対する治療法としてよく知られていますが、こちらはアトピーのマウスを対象に治療を行ったところ、腸内フローラバランスが回復、SCFAのレベルの上昇、さらには、制御性T細胞を調節してIgEレベルを減少させることによって、アレルギー反応を抑え皮ふと腸の炎症が減少した有意な結果がみられたとしています。これから腸内フローラ移植がアトピーに対する新しい治療法になるのではないでしょうか。

Faecal Microbiome Transplantation as a Solution to Chronic Enteropathies in Dogs: A Case Study of Beneficial Microbial Evolution
University of Padova(2021.05.17)
イタリアのパドヴァ大学からわんちゃんの慢性腸炎(CE)について発表された論文です。慢性腸炎を3年間患い、月に2回程度血便、嘔吐を繰り返していた9歳のミックス犬は(初期検査時CCEAI=6)、既存のステロイド(プレドニゾロン)や抗菌薬(タイロシン)治療を受けていましたが、再発するなど治療の反応が悪くなったため、対案として腸内フローラ移植を実施したところ、症状がなくなったという発表です。

Fecal Microbiota Transplantation: A New Therapeutic Attempt from the Gut to the Brain
Hindawi(2021.01.16)
こちらもまた中国からですが、ヒトの神経疾患(パーキンソン病、アルツハイマー、多発性硬化症、てんかん、自閉症、躁うつ病(双極性障害)、うつ病など)への症例の報告です。脳と腸内は一見結びつかないものですが、腸内環境と脳は直結していてるのです。この論文の内容から神経疾患に対する腸内フローラ移植の有望性がうかがえます。

The Efficacy of Fecal Microbiota Transplantation for Children With Tourette Syndrome: A Preliminary Study
Frontiers in Psychiatry(2020.12.23)
ヒトのトゥレット障害(Tourette Syndrome=TS)について、中国から発表されたものです。腸内フローラ移植を受けた5人中、なんと4人のチック症に効果があったそうです。最近発表される論文を読むと、中枢神経疾患に対する腸内フローラ移植の期待が高まりますね。現在犬のてんかんのチック症には、薬物治療しかない状況ですが、これから研究が進み、ワンちゃんのてんかん治療にも使われることを期待します。

兄弟、同世代のドナーが便移植療法の長期治療効果を高める
順天堂大学(2020.06.25)
ヒトの潰瘍性大腸炎(UC)に対して、国内順天堂大学から兄弟の腸内フローラ移植について発表された内容です。順天堂大学の場合、内視鏡による移植で事前に抗生剤投与することで腸内環境を一度リセットしてから施術しているようですが、潰瘍性大腸炎に対する効果の検証とドナーとレシピエントの相性について、大変参考になる内容です。

Fecal Microbial and Metabolic Profiles in Dogs With Acute Diarrhea Receiving Either Fecal Microbiota Transplantation or Oral Metronidazole
Frontiers in Veterinary Science(2020.04.16)
イヌの急性下痢に対する腸内フローラ移植と経口投与のメトロニダゾールによる違いについて、発表されたものです。

Fecal Microbiota Transplantation in Neurological Disorders
Frontiers in Cellular and Infection Microbiology(2020.03.24)
ヒトとマウスに対する臨床研究から、神経疾患(自閉症、パーキンソン病、てんかん)における腸内フローラ移植について発表されたものです。まだ、症例が少なく謎なところも多いのですが、神経疾患に対して腸内フローラ移植が影響を与える可能性が高く、有望な治療オプションとして可能性を持っていること示していて、イヌやネコの認知症などにも期待できる結果だと思います。

Improvement in Clinical Symptoms and Fecal Microbiome After Fecal Microbiota Transplantation in a Dog with Inflammatory Bowel Disease
日本獣医生命科学大学(2019.12.02)
難治性の炎症性腸疾患(IBD)のイヌが長期の腸内フローラ移植によって治療された症例について発表されたものです。たった一匹ですが、驚きの結果で炎症性腸疾患に対する治療法として腸内フローラ移植​が有望であることを示しています。

Similarity of the dog and human gut microbiomes in gene content and response to diet
BMC(2018.04.19)
ヒトとイヌの腸内フローラ(腸内細菌叢)の類似性について発表されたものです。イヌは他の動物(マウスや豚)よりもヒトマイクロバイオームと似ていることを示していて、ヒトの腸内フローラ移植の症例からイヌの腸内フローラ移植もその可能性が高いことを示す結果だと思います。

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